久保は日常のありふれた素材を使いながら、各地の土着的な文化をモチーフにさまざまな作品を制作する。
古くからある文化に、現代で使われている素材、道具、暮らしを再構成して、新たな形を生み出す。本作の《泥足》は休耕地になっている田んぼもかつては様々な人に耕され多くの作物を育ててきたということに思いを馳せ、その土地を踏み守ってきたことへの象徴であり、労働と生産のオマージュとして制作された。
一方で、この会津にも「手長足長」という妖怪伝説がある。大きな両足が見えない巨大な体躯を想像させ、あたかも手長足長が現れたようでもある。
地域を超えて解釈できる久保の作品からは、先人たちへの尊敬と、地域文化を見つめ直そうとする眼差しを感じる。